手の届く範囲で確かな意思やこだわりを持って働く方をゲストに迎え、仕事作りのヒントをお伺いする「こ・あきないの学校」。
9月28日(土)に行われた授業は、「カフェとギャラリーとこ・あきない」と題し、仙台市青葉区台原でカフェを展開しているSatomi kilnの田代成さんをゲストにお招きし、Satomi kiln誕生までの秘話やお店のコンセプト、田代さんが普段大切にしていることなどを伺いました。
カフェと器の相乗効果
田代さんのカフェの隣には、陶芸家である母のアトリエがあります。カフェではそこで作られた器を用い、料理を提供することを一つのコンセプトにしています。「生活の中に作家の想いが感じられる」「器を見て触る」と体験することを大切にしているのだそうです。
Satomi kilnの開業当初は、母を慕ってアトリエを訪れるお客さんが隣のカフェに立ち寄るというケースが多かったのですが、現在はカフェの知名度があがったことで「カフェを通して陶芸を知る」という逆転現象が起きているそうです。
カフェと陶芸による相乗効果!Satomi kilnがお客様を虜にする一つ目のキーワードがここに隠されているように思いました。
もともとカフェをする気はなかった?!
いまでこそSatomi kilnを切り盛りしていますが、もともとカフェをする気がなかったそうです。田代さんがやりたかったのは、ゲストハウス。ゲストハウスの経営を勉強するために長野県にまで行って修行を積んでいました。しかし予定していた古民家のあるスペースでは、ゲストハウスを営めないことを母から伝えらえ、計画を断念。カフェをすることになったのでした。
この時は「嘘だろ」という心境だったそうです。しかし、田代さんはすぐに気持ちを切り替えました。カフェの経験はありませんでしたが、スコーンをメニューの看板にすると決めてからは、仙台中のスコーンを食べ歩いたり、寝ずにスコーンを作り続けたり、自分が納得する商品が作り出せるまで試行錯誤を繰り返したと語ります。
小商いというと、好きなものを仕事にするというイメージが強いですが、このようなケースもあるのです。必要に迫られて始めた商いでも、真摯に、妥協せずに取り組むことが、いかに大切なことか教えられました。
田代さんの仕事ぶりに圧倒される
開業前の、とりわけ28歳頃の田代さんの一年は激動でした。昼間は工務店、夕方から寿司屋で働き、やっと夜になって開業クラウドファンディングの準備や建物の内装も自らの手で行い。さらに、そこからスコーンの試作に取り掛かるのです。現在34歳となった田代さんは、「よくできたな」と過去を回想しておられましたが、本当に驚愕する仕事ぶりだったようです。
やると決めてからの行動力や、それを形にするまでの覚悟がマイクを通して伝わってきました。参加者のアンケートを見ても、「本にできる」「映画の予告編のように引き付けられた」といった感想や、「とても勇気づけられた」「刺激になった」という感想が多数寄せられました。
今回、参加された方には起業を考えている人も多く、田代さんに「頑張れ!」と背中を押してもらえたように思います。田代さん、ありがとうございました!
◎ おやつタイム ◎
写真は、休憩時間に提供されたSatomi kilnのスコーンです。
白磁の器は、もちろん、母の陶芸作品。スコーンを焼いて持ってくるだけでも大変なのに、「いえ、これが私たちのスタイルなので」と器まで持ってきてくださった田代さん。
これが田代さんの魅力。スコーン、とってもおいしくいただきました!
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「こ・あきないの学校」全6回
◆オープニングイベント 仁平古家具店のはじまりと今
●日 時:9月1日(日)13:00-15:00
●話し手:仁平透(仁平古家具店 店主)栃木県真岡市
◆プログラム01 食と地域とこ・あきない
●日 時:9月14日(土)13:30-15:00
●話し手:畠山菜奈(舞根キッチン)気仙沼市唐桑町
◆プログラム02 カフェとギャラリーとこ・あきない
●日 時:9月28日(土)13:30-15:00
●話し手:田代成(Satomi kiln)仙台市青葉区
◆プログラム03 花とこ・あきない
●日 時:10月6日(日)13:30-15:00
●話し手:大塚のぞみ(Botanical People 店主)松島町高城
◆プログラム04 喫茶とこ・あきない
●日 時:10月26日(土) 10:30-12:00
●話し手:菊地祥史(喫茶コーヒーワークス 店主)仙台市泉区
◆プログラム05 こ・あきないの学校をふりかえる
●日 時:11月9日(土) 13:30-15:00
■主催:利府町
■企画・運営:一般社団法人Granny Rideto
■協力:旅と本とおやつと
(tsumikコーディネーター 石井宏之)