やりがいからつくる小さな経済圏
自分のやりたいことを形にするために、毎年実施している実践講座「新生業塾」。2022年度は、オープニングトークのゲストに料理研究家の枝元なほみさんをお迎えし「どうやってつくる?小さな経済圏」をテーマに、お話をうかがいました。
開催当日10月23日(日)には、利府町内外からtsumikiに集まった21名と同時配信されたzoom越しに7名の方々、計28名が参加しました。
枝元さんは、料理研究家でありながら、ホームレス支援をする雑誌「ビッグイシュー」、生活者と生産者の距離を近づける農業支援「チームむかご」、夜だけオープンする「夜のパン屋さん」といったプロジェクトを展開しています。
日本で1年間に廃棄される食べ物の総量は570万トン。毎日10tトラック1560台分の食料を捨てている。その実状に直面したとき、フードロスを減らし上手く経済が回る仕組みづくりができないかと考えたのが「夜のパン屋さん」の取り組みです。「夜のパン屋さん」の目的は2つ「パンの命をまっとうして売り切る。食べ切る」「フードロスをなくす。そのための仕事を作る」。
枝元さんの活動は、料理研究家としての生業をしながら感じた、小さな疑問やちょとした違和感からはじまっています。そこから現代の経済システムを見直し、大量生産、大量消費、大量廃棄という負のループから降りて未来を生きる子どもたちに豊かな自然環境を残すためには、小さな経済圏でも廻るシステムに変えていきたいという思いにつながっていったのでした。
枝元さんの取組みを興味深く聞いていた参加者からは、「自分でもできること、やれることを考えてみたい」「今いる場所でできることを、1つずつやってみたい」「地域でつながる生業をつくりたい」と前向きな感想がたくさん寄せられました。
途中、試食タイムもあり、長ネギの緑の部分を無駄にしない「揚げネギ」と人参が貯まったときにおススメの「にんじんしりしり」のレシピを教えてもらいました。
「今までネギの青い部分は捨てていたけど、こんなに美味しく食べるならレパートリーに加えます」と参加者から率直な感想が述べられ、身近な食べ物からフードロスを考えるきっかけになったようです。
興味深い話は尽きず、時間がいくらあっても足りないくらい。もっと知りたい方に、今日のお話が凝縮されている本を紹介していただきました。
「キッチンから、ゆるく、おいしく、スローフードを打ち返す」というサブタイトルがついている枝元さん新刊著書『捨てない未来』(朝日新聞出版)。こちらもぜひ、ご一読ください。
枝元さんには、このあと引き続き実施される全5回の連続講座でも講師としてアドバイスをいただくことになっています。利府町を中心とした小さな経済圏から、いろいろなプロジェクトが立ち上がってきそうな予感がします。
新生業塾「やりがい」からつくる小さな経済圏 地域からはじめる100個のプロジェクト。連続講座は、11月2日開講です。
(tsumikiチーフコーディネーター 葛西淳子)