地域資源洗い出しと特産品の創出
利府町地域資源検討委員会の石巻視察が2023年1月18日(水)に行われました。地域資源検討委員会は、令和4年2月から利府松島商工会が事務局となり利府町の地域資源洗い出しと、それらを活用した特産品の創出を目的に活動をしてきました。委員として、tsumikiディレクター桃生和成とスタッフの葛西が参加しています。
当日の視察には、委員12名が参加。利府から石巻までバス移動すること1時間ほどで、最初の目的地である「いしのまき元気いちば」に到着しました。ここで、今回の視察をコーディネートしていただいた合同会社DESING NSAGIの渡邉樹恵子さんと合流。石巻地域の特産品が豊富に揃っている市場を見学ながら、2階フードコートで石巻の美味しい食材を使ったランチで腹ごしらえし、次の訪問地へ。
山徳平塚水産株式会社を見学
次に訪れたのは、山徳平塚水産株式会社。1931年創業で、創業当時は鰹節、笹かまぼや揚げかまぼこなどの練り製品の製造も行っていましたが、現在はさば味噌煮などの魚総菜、調理済みのおでんなどを主力製品として製造しています。
宮城県石巻魚町2-8-9
TEL 0225-22-0171
営業時間 9:00~18:00
定休日:日曜祭日
平塚さんの案内で、工場内を見学しました。この日は、主力商品「絆おでん」の製造中でした。おでん種6品は、全て国産具材使用。化学調味料を使わず、かつおぶし、昆布等の天然素材だけで作ったスープでじっくり仕上げ、温めるだけで簡単に調理できるのが特長です。
製造工程は、まずはおでんの材料と出汁を袋に詰めます。次に2台の加圧機で調理を行います。調理の温度や時間は、すべてコンピューター制御。山徳平塚(株)の強みは、独自のレトルト技術で常温保存できる商品を作れることです。出荷先は、主に関東方面の小売業者やネット販売業者などに卸しているそうです。
会社の垣根を越えて開発した「石巻金華シリーズ」
今回の視察の目的の一つである石巻の水産業関係者が取組んできた特産品開発の事例について、山徳平塚水産株式会社代表取締役の平塚隆一郎さんにお話ししていただきました。
石巻は金華山沖という漁場に恵まれ、石巻漁港には新鮮で豊富な種類の魚が揚がっています。それにともない水産加工業も盛んで、扱う魚介類はサバ、サンマ、サケ、カキ、ホヤ等と種類も多く、一定基準の品質の商品を製造できる加工技術をもっていることは大きな強みでもありました。それを生かして立ち上げたのが「石巻金華」というブランドです。
「石巻金華茶漬けシリーズ」は、銀鮭、サバ、カキ、ホヤなど種類が豊富で、これまで100万食を売り上げるヒット商品になっています。製造販売は、石巻市の水産加工会社が共同経営する石巻うまいもの株式会社です。
「一社だけが突出しても、本当の意味での石巻の繁栄にはつながらない」と石巻市の10社が、会社の枠を超えて設立した会社です。それぞれの会社が得意な技術や設備を持ち寄って製造できるので、負担が軽減でき効率が上がります。一方、商品販売や宣伝はチームプレイ、10社が集まれば、販路も10ルートに広がります。
「石巻で受け継がれてきた食の文化は、他のところで真似ることができません。地域の味を継承しながら、各社の知恵やノウハウを持ち寄り自信をもって商品を製造していくことが、他との差別化につながると実感しています」と平塚さんが説明してくださいました。
石巻の「うまいものづくり」を発信
視察の最後は、石巻水産総合センター内ある「石巻うまいものマルシェ」を見学しました。経営母体となるのは前述の石巻うまいもの株式会社。東日本大震災をきっかけに手を取り合い協力しようと立ち上げました。「会社の垣根を超え、10社をひとつの工場に見立てる」というコンセプトで、直売店(セレクトアンテナショップ)とお取り寄せ用のネット販売も行っています。
店内には、平塚さんに説明していただいた「石巻金華シリーズ」をはじめ、共同する10社の自慢の商品に加えて、自信をもって薦めることができる選りすぐりの特産品が揃っています。
宮城県石巻市魚町2丁目12番地3 石巻水産総合振興センター1F
TEL:0225-25-4363
営業時間:平日9:00~15:00 日曜日 10:00~15:00(定休日火曜)
視察を終えて、地域検討委員会の一人ひとりが「利府町でもこんなふうに自慢できる商品を作りたい」という思いと、その夢を膨らませながら帰途につきました。
(tsumikiチーフコーディネーター 葛西淳子)