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菅野正紀さん(森のとき舎)

\CHALLENGER/

 

tsumikiを中心に、町内の様々な分野で活躍する方々を紹介します。
今回ご紹介するのは、利府町しらかし台にお住まいの菅野正紀さんです。
ブナの木を使った歯車時計を製作し販売しています。
tsumikiを利用して、時計の製作過程で組み立て作業などを行っています。

 

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▲桜の花びらをモチーフにした歯車時計は、菅原さんの作品です。

 

 

—扱いにくいブナを使って正確さが要求される時計作り

菅野さんは、10年ほど前からブナで歯車時計を製作しています。本来ブナは曲がりやすかったり、狂いやすかったり、扱いにくい木材です。正確さを要求される時計を作るまでには困難も多く、はじめの作品を完成させるまでには1年もかかったそうです。
それでもブナを選ぶことには理由があり、近年日本の森林から衰退しつつあるブナを時計として活用し、身近に感じてもらうことでブナのことを考えてもらいたいという願いが込められています。
菅野さんの作品は素材をシンプルに活かしつつ、ブナの木が持つ力強さと、部品ごと精巧に動く繊細さが歯車を通じて噛み合い、表現されています。

 

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▲ 北斗七星をイメージした歯車時計を調整する菅原さん。時計は、重りと振り子の動きで時を刻みます。

 

 

—カメラマン時代に出会った1本のブナの木

菅野さんがなぜそこまでブナの木にこだわって製作しているのか、きっかけは30年以上前に遡ります。 退職するまで菅野さんはカメラマンとして仕事をしていました。あるとき自身の写真作品を撮るために森へ入ったところ、1本のブナの木と出会いました。

 

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▲最初に出会ったブナの木

 

その時の衝撃を「人間的な表情をしていて、朽ちていながらも生命の力強さを感じた」と語ります。この出会いをきっかけに菅野さんはブナの木の魅力に惹かれ、ブナの木の撮影を続け、数多くの写真作品を残しました。

 

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▲ブナの木のアルバム

 

菅野さんはカメラマンとしてブナの木を撮影し続けているうちに、ブナにまつわる現状や抱えている課題にも関心を持つようになりました。木材として扱いにくいため森林から伐採され、代わりにスギやヒノキといった木材として商品価値のある木が植樹されています。
日本に古くから存在しているブナはまだ活用手段も少なく、捨てられたり、伐採対象になったりしているが現状です。その中で自分に何かできることはないかと考え、時計の製作を始めました。

 

 

—ブナを通して森林や自然環境を考える。

 

菅野さんはブナの倒木材を利用し、ひび割れた部位など捨てられてしまう廃材を使って時計を製作しています。まだまだ研究途中にあるブナの活用について、自身の作品で活用の手段のひとつの選択肢を示しています。今後は、多くの人に作品を見てもらい、ブナの魅力を知ってもらうこと、さらに進んで、ブナをめぐる自然環境のことについて意識をもってもらえればと力強く語ります。

 

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▲ふくろうとねこの置き時計。腕が長針と短針を表し、時間の経過で腕が動きます。

 

「木を見て森を見ず」ではなく、「木を見て森を知る」そんな願いが菅野さんからのお話しで伺えました。みなさんのご家庭に一家に一台ブナの時計を置いてみてはいかがでしょうか。

 

 

(取材・文・写真/tsumikiコーディネーター 佐藤陽友)