移住コーディネーターの尾川さんってどんな人?

昨年4月、利府町の*移住コーディネーターに着任した尾川海斗さん。元宮城県職員という安定した立場から新たな挑戦へ踏み出したきっかけは、意外にも愛犬の存在でした。

「ドッグランでうちの犬が夢中で走り回っているのを見たとき、ふと“こういう時間をもっと大事にしたいな”と思ったんです。犬も人も、安心して楽しく過ごせる場所をつくれたらいいなって」。

そんな思いが芽生えた頃、利府町が地域おこし協力隊として移住コーディネーターを募集していることを知ります。多賀城市で育った尾川さんにとって、利府町は幼い頃から親しんできた身近な場所。深い縁を感じて、新しい世界へ飛び込みました。
この記事では、これまでの取り組みを振り返りながら、尾川さんの魅力に迫りたいと思います。

*移住コーディネーター…商工観光課シティセールス係が担う移住・定住促進事業の担当者

一年の取り組みを振り返って

石井:まず移住コーディネーターとして、この一年を振り返ってみてください。
尾川:とても楽しかったです! 周りのメンバーもやさしくて、本当に恵まれた環境で仕事をさせていただきました。*e-ハマハウスを通じた移住体験には、全国から11組24名の方に来ていただきました。そのうち、一組が実際に移住されています。利府町にとって移住体験は初めての取り組みで、当初6組ぐらいを目標にしていたのですが、終わってみればほぼ倍。実際の移住にも繋げることができ、嬉しかったですね。

石井:大変だったことは?
尾川:土木系の仕事で工事の発注や監督等を担当していた前職とは違い、今は情報をオープンにし、自らプレーヤーとなって移住希望者を案内します。すべて初めてのことだったので、戸惑うこともありました。特に大変だったのは、移住体験をPRするチラシづくりです。慣れないソフトでデザインして、できたと思って見てもらうと何度もダメだしされて……。でも、そのおかげで自分でも納得できるものに仕上がりました。感謝しかありません。

石井:いじわるな質問かもしれませんが、一年で一組の移住って足りてますか?
尾川:全然足りてないです。利府町では2030年までに38,800人の人口を目指しているので、数で言えば今より約3,000人増やすのが目標です。ただ、移住体験を通じた移住促進事業は、単純に数だけではないと思うんです。利府町のいいところだけでなく、そうじゃないところも知ったうえで来てくれる人は本当に貴重ですし、利府町って「*みんなの夢がかなうまち」を掲げているじゃないですか。移住してきた方がここで挑戦して、その姿が次の一人を呼ぶ。そういう人から人への循環をつくること、そのような環境を整備することが僕の仕事だと思っています。

*e-ハマハウス…移住体験施設。無料で最大6日間宿泊しながら、利府町での生活を体験できる
*みんなの夢がかなうまち…利府町ではチャレンジする個人や団体に夢チャレンジ補助金を交付している

▲1月16日、e-ハマハウスで実績報告会を行った

直感で動く。まずやってみる

石井:*事前に行ったヒアリングシートでは、自分のことを「直感タイプ」とおっしゃっていましたね。
尾川:はい、あまり深く考えずに行動に出ちゃうタイプなんです。たとえば、最近イタリアでオリンピックがありましたよね。僕はあれを見ながら、「利府町でオリンピックをしたいなぁ」と思ったんです。オリンピックと言っても、人間のではなく犬のです。ドッグオリンピック。大きな会場で犬が芝生を駆け回って、人も一緒に熱狂する。すごく面白いと思いませんか? 早速、会場となりそうな場所にいくつか相談にも行ったのですが、どこも犬のイベントってなかなか難しいみたいで……。でも、利府町で知り合った方が新たに紹介をつないでくれているので、今は細い糸を手繰り寄せながら可能性を探っているところですね。

*事前に行ったヒアリングシート…実際の取材の前に、一問一答形式でアンケートを行った

石井:行動が早いですね。
尾川:最近町長が利府町を「アニマルスポーツの町にしたい」と言っていました。僕も自分の夢をそこに載せていきたい。ただこの一年は自分のやりたいことに目が向きすぎていたという反省がありました。自分のやりたいことと、移住促進という与えられているミッションがバラバラな感じだったんですよね。自分のやりたいことだけやっていても周りの人はついてこないので、町が求めていることとすり合わせながら、自分のやりたいことを実現していかなければと気づきました。

石井:よくtsumikiにも来てくれましたね。どうしてですか。
尾川:tsumikiという場所は、それぞれ得意分野を持った人が周りの人とつながって、自分のやりたいことを実現したり、街を盛り上げたりする場所だと思っています。僕の場合、移住者交流会もやっていきたいですし、同業者がやっていてインスピレーションを受けた「*たくらむ会」のようなものもやっていきたいです。石井さんがやっている*トレイルと組み合わせて、犬と歩けるドッグトレイルもやりたいです。ぜひお願いします!

石井:春になったらやりましょうね!

*たくらむ会…個々人が企んでいることを周りのメンバーと共有し、後日みんなでやってみる会
*トレイル…ウォーキングを通じて、地域の自然や歴史に触れ、その土地の魅力を体感する活動

目立ちたい。それが原動力に。

尾川:事前の質問の中で、「どんな少年だった?」ってありましたよね。「半袖小僧」って書いたんですけど、そういえば、僕って目立ちたがり屋だったなって思い出したんです。よく冬でも半袖短パンの子っているじゃないですか。あれ、僕だったんですけど、ただ目立ちたかったからなんですよね。友達に寒くないの?とか聞かれて「寒くないよ」って言いながら、実はめっちゃ寒い。目立つために我慢してました(笑)。

石井:はは。
尾川:それから最近も、やっぱり目立ちたがりだなって思ったことがあって。あるところで交流会のようなものがあって、最初にアイスブレークをしようと。参加者30人ぐらいが6グループに分かれて、「メンバーと共通していることを多く挙げられたチームが勝ち」というルールでした。僕たちは15個ぐらい見つけることができたんです。でも、周りのチームは30個とか挙げてて、最後に発表する自分たちのチームは負け確定だったんですよね。だから、発表する番になって僕は、ルールを変えようと思ったんです。

「すみません。このままだと僕たち負け確定なのでルールを変えさせてください。今から僕たちの共通していることを挙げていくので、皆さんも共通していると思ったら立ってください。もしここにいる30人全員が立つことになったら、僕たちの勝ちにしてください」。

その瞬間周りがザワッとして、いいぞと思いながら一つずつ発表していきました。最初は少ししか立たないんですけど、これは計算です。全員が立つような共通項を最後に残しておいて発表したんです。そしたら、みんな立ち上がって、とても盛り上がりました。それがすごく気持ちよくて。参加していた学生も「めっちゃ楽しかったです」って言ってくれました。自分の中に、注目されたい欲求があったんだなって改めて気づいた瞬間でしたね。

石井:(笑)ーー最後に、新年度に向けて豊富を教えてください。
尾川:この一年間で大体自分の仕事を理解したので、これからはもっとパワーアップしてやっていきたいです。これまで取り組めなかった移住者交流会をtsumikiでやりたいですし、最近始めた移住促進用のインスタグラムも充実させていきます。また、利府町で犬と一緒に楽しめるイベントもやっていきたいです。場所がないという大きな課題はありますが、できることから少しずつ取り組んでいきたいと思います。僕の最終的な目標は「犬が安心してしっぽを振れるような街」にすることなので、新年度はそれを実現するためのステップアップの年にしたいです。僕自身が目立たなければ、利府町の移住政策の取り組みが見えてきません。これからもいろんな人と交流して、利府町を盛り上げていきたいです。

尾川さんギャラリー

▲移住体験のプログラムスケジュールを確認する

▲外の掃き掃除も業務のひとつだ

▲きれいな食器でゲストを迎える

▲e-ハマハウスから見える海の景色がお気に入り

▲映画のロケ地となった場所のPRにも余念がない

終わりに

尾川さんとのインタビューを終えて、私はすがすがしい気持ちになりました。尾川さんは好きなこと・やりたいことを嬉しそうに話し、課題と直面しながらも常に前向きな姿勢で物事を捉えています。tsumikiスタッフという立場を超えて、純粋に尾川さんの夢を応援したいと思いました。尾川さんはこれからもきっと時間を見つけては、皆さんに会いに行くでしょう。これからの活躍に注目したいと思います。

文責:石井

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