2026年7月4日(土)、つみきの学校が開校しました。
つみきの学校は、皆さんの「やってみたい!」をカタチにする約半年間のプロジェクトです。募集定員も埋まり、初回は40名を超える受講生が参加しました。
オープニングでは、「はじめる」「ふかめる」をテーマに、hickory03travelersの迫一成さん(新潟)、homesickdesignの清水真介さん(盛岡)、そして熊谷大利府町長によるトークセッションを開催。
地域で活躍する二人のデザイナーと利府町を愛する熊谷町長。デザインやまちづくりについて、挑戦と失敗、東北人の気質、仕事とお金、店舗の役割など、話題は多岐にわたり、予定時間を忘れるほど濃密な時間に。特に印象に残った話をご紹介します。

とにかくアクションを起こす!
何かを始めようとすると、「無理だよ」「やめた方がいい」と言われたり、不安が先に立ったりするものです。それでも、お二人が共通して伝えていたのは、「まず動いてみること」の大切さでした。
迫さんは大学卒業後、新潟のある商店街に小さな店舗を構えました。当時の商店街は衰退の一途をたどり、周りからは暗い話ばかり。それでも迫さんはできることから始めます。自発的に近所のお店の商品を作るなど頼まれてもいないことを自ら始める「勝手にやる作戦」です。イベントも次々に企画し、子どもたちと落書きをしたり餅つきをしたりしました。新潟の伝統菓子「浮き星」の復活も、イベントで出会った職人さんへの声掛けがきっかけでした。
こうした小さな行動を積み重ねた結果、商店街は大きく変わり、今では空き店舗もほとんどない商店街へと生まれ変わりました。迫さんの挑戦はいつも小さな一歩から始まっています。
一方、専門学校でデザインを教える清水さんの話も多くの受講者の心を打ちました。
「ぼくが受け持っている学生を見ていると、アウトプットがどうであれとにかく早く動き出した学生ほど失敗を重ね、どんどん成長していきます。一方で、へらへらプレゼンをしたり、適当に資料をつくったりしている学生は伸びません。ぼくはプロだから分かるんです。これに時間をかけたなとか悩んでいるなとか。真摯に向き合った学生ほど苦悩し成長するんですよ」
失敗は誰でも怖いもの。しかし挑戦しなければ失敗もありません。まず動くこと。そして真剣に向き合うこと。その積み重ねが成長につながる――そんなメッセージが多くの受講者の心に残りました。


仕事と謙虚さ、そして金――宮沢賢治を乗り越える
事業を始めるとき、「自分の商品にいくら値段を付ければいいのか」「自分なんて…」と、自信を持てずに悩む人は少なくありません。トーク中も、熱心に耳を傾け大きくうなずく受講者が何人もいました。
清水さんはその背景に「東北人特有の気質」があるのではないかと話します。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」に象徴されるように、耐え忍ぶことや控えめであることは古くから東北人の美徳とされてきました。しかし、その価値観がビジネスにおいてはブレーキになってしまうことも。
実際、清水さんのもとには行き詰まったプロジェクトの相談が多く寄せられますが、当の本人たちが「仕方ないね」と諦めていることも少なくないそうです。そんなとき清水さんは率直に課題を伝え、解決への道筋を示します。すると、意外なほどあっさり状況が動き出すことも多いそうです。
この話は、お金に対する考え方にも通じます。「稼ぐこと」にどこか後ろめたさを感じてしまう――そんな東北人の気質をビジネスでは乗り越える必要があると、熊谷町長も迫さんも強く同意されていました。
町長はこう話します。
「東北人は『良いものを作れば自然に売れる』と思いがちです。しかし、お二人のようにデザイン・発信の力を取り入れて積極的に外へ届けていかなければ、どれだけ良いものでも広がっていきません」
町長自身、SNSで利府の魅力を発信するだけでなく、自宅の庭で採れた蜂蜜や利府産のお米・梨を人知れず全国の知人へ送っているそうです。公務以外だけでなくプライベートでも努力を重ねている――そんな熊谷町長のエピソードでした。
また、迫さんからは、値段の付け方について「希望小売価格」というキーワードを通じ、目から鱗が落ちるようなお話をしていただきました。
「売る相手が身近な人だと、空気感的に『高く売ってはいけない』と思ってしまいがちです。だからこそ、遠くの人には高く売り、近くの人には安く売るという作戦を取る。自分の店舗では500円で売り、遠くで売るときは800円にする。これは全然悪いことではありません。地域によって物価も収入も違うからこそ、世の中には『希望小売価格』というものがあるんですよ」
「希望小売価格」という言葉自体は知っていても、それを自分事として捉えたことがある人は多くないはずです。迫さんのこの言葉に会場中がハッとさせられた瞬間でした。


受講生の声
トーク後、受講生から多くの感想をいただきました。一部ではありますが、上記では紹介しきれなかった内容もありますので、ぜひ当日の雰囲気を感じてみてください。※一部編集あり
・明るく自己主張することが大事。「耐え忍ぶことに美を置いている(宮沢賢治)ところがある」というお話から、ものすごく自分のことだと感じました。自己評価も自己肯定感も低いので、自信が持てるまで勉強をしようとか訓練を積み重ねてから踏み出そうとか考えていたけど、先に踏み出してみて失敗することが大事と、とても胸に刺さりました。
・清水さんの言葉で「失敗が多い学生ほど伸びる」とありましたが、これこそ私が始めようとしている「新しい習い事」のコンセプトでありとても勇気づけられました。
・「自分は何者かは他者に決めてもらう」という清水さんの言葉が印象的だった。今の自分は、何者かになりたい欲求が強く、自分の中だけで「これがいい」という価値観ばかり強くなっている。他者にお願いされることで自分が見えてくるなど、他者に決めてもらうことの大切さを学んだ。
・あまりの自分の自己肯定感の低さに気づかされました。今の自分がぶつかり、ネガティブに考えているところにたくさんヒントをいただいたように思います。また、参加されていた方から出張ワークショップのご相談などもあり、これから様々なプログラムを受講していく中で、他の学生の方々とも意見交換していきたいと思います。
– – – – – – – – – – – – – –
皆さん、素敵な感想をありがとうございました。
これからの半年間、今回学んだことを生かしてどんどん挑戦していきましょう!
それでは、また。(入学式番外編につづく)

文責 石井