今回ご紹介するのは、デザイナーの小野寺葉月さんです。
小野寺さんは、アパレル関係の仕事を経てグラフィックデザイナーとして独立し、現在2年目。家事や育児に追われる日々のなかで、個人事業主として仕事に向き合っています。
今年の夏から始まった「つみきの学校」の受講生でもある小野寺さん。さまざまなプログラムを通じて、自分の仕事につながるヒントを吸収する一方、次の一歩を自ら進めるために、ひとつの取り組みを始めました。それが「勝手に利府梨マップ」の制作です。利府町の住民でもない小野寺さんは、なぜこの取り組みを始めたのでしょうか。その背景にある思いや独立2年目を歩む小野寺さんの現在地に迫ります。
やっぱりデザインが好きだった
石井:アパレルからの転身。どうしてデザイナーを目指したのですか。
小野寺:子どもの頃から自分でつくったもので周りの人が喜んでくれるのが嬉しくて。学生時代もデザインを学べるところへ進学し、デザインのほか、アパレルや建築を学びました。それがアパレル業界に就職するきっかけになったのですが、ずっとデザインに行きたいというのは夢だったんです。
石井:そうは言っても、辞めるのは大変じゃなかったですか。
小野寺:うーん、元々デザイナーになるのが夢でしたし、社会が副業ブームの中、職場が副業を認めてくださったのが大きかったですね。だから、最初の2年ぐらいは会社で働きながらデザインの仕事をして、その後独立へとスムーズに移行することができました。アパレル業界で学んだこともデザインに生きることが多く、本当に感謝しています。
殻を破るきっかけとなった「つみきの学校」
石井:デザインに踏み出した小野寺さんですが、どうしてつみきの学校を受講することにしたのですか。
小野寺:講師にデザイナーさんが多く、キャリアアップに繋げたかったからです。私は今、イベントのチラシ制作のご依頼をいただくことが多いのですが、アットホームなデザインになりがちなので、その表現の幅を増やしたかったのと、単発の仕事ではなくロゴ制作やブランディングなど、クライアントさんの求めているものにトータルで応えられるような分野に携わりたいと思って受講しました。
石井:講義から学んだことや、心に残っている講師の言葉はありますか。
小野寺:私の固定観念を壊してくれました。私はなかなか踏み出せないことがあるのですが、迫一成さん(hickory03travvelers)や清水真介さん(homesickdesign)から「とりあえずやってみよう」「成長する人はたくさん失敗する人だよ」と教えていただきました。それまでの私はまじめすぎたんですね。いろんなところで自分にストッパーをかけていてたんだと思います。
石井:そんな中で、学校の講義を飛び出して、自ら「勝手に利府梨マップ」をつくることになりましたよね。なぜですか。
小野寺:一歩を踏み出したかったからです。私は利府町の人でもないですし、まだまだ駆け出し。今までの自分だったら、私なんて…と思ってしまうところ。でも、その固定観念を壊さないと前に進めないと思いました。また、迫さんの街歩きの授業の中で、デザイナー視点で街を観察したとき、本当にいろんなことに気づかされました。それがとても面白くて。そこで「利府町の課題ってなんだろう」と自分なりに考えて、tsumikiのスタッフさんに相談してみたら、「利府梨を買いに来る人がいるんだけど、マップがないから説明できないんだよね」っておっしゃったんです。「それだ!」と思って、勝手に梨マップ制作を始めることにしました。
石井:はは。すごい行動力!

マップ制作中も新たな表現に挑戦!
石井:マップ制作は、どのように進めたのですか。
小野寺:スタッフさんと相談して、まずは梨の直売所があるところを実際にリサーチしようということになりました。事前に直売所があるところに印をつけた地図を用意し、歩きながらメモを取り、実際の場所を確認していくという作業ですね。実際に行ってみると、想像していた以上に直売所が多く大変でしたが、tsumikiから歩いて行ける距離だということも分かってよかったです。
石井:現地リサーチは何回か繰り返していましたね。
小野寺:はい。最初は歩いて、二回目はバスで行きました。バスだとあっという間に着くし、歩きではなかなか行けないところにも行けるので、「わー、すごい」って。それから、利府梨農家の近江さんにも相談しました。梨農家さんの取り組みや想いを聞くなかで、マップに落とし込めることと、そうではないことがあるのにも気づかされました。また、何度かリサーチに出かけるうちに季節も変わり、最初に訪れたときには閉まっていた直売所が、次に行った時には開いている、そんな変化も面白かったです。最後は梨を買うのが楽しみで通っていたような感じです(笑)。


石井:マップ制作で工夫したことは何ですか。
小野寺:全部手書きでイラストを描きました。それに合わせ、文字も手書きにしています。今まではソフトを使ったグラフィックデザインしかしたことがなく、手書きは初めてだったんです。自分では大丈夫かなと半信半疑だったのですが、マップを見てくださった皆さんから、「温かみがある」とか「かわいい」とか言ってくださって、とても嬉しかったです。
石井:本当に親しみやすいデザインですよね。
小野寺:ありがとうございます。それから、迫さんに「テキトーでいいから出しな」と教わったので、最初自分の頭に浮かんだイメージをそのまま出しました。進捗状況を共有するために、スタッフさんに全然できていないものを見せるので少し恥ずかしかったのですが、それがどんどん完成していくプロセスを見てもらうことで、私にとってもいい刺激となりました。
石井:僕も最初に載っていなかった情報が次々と盛り込まれ、最後には知らなかった情報まで載るようになって、すごくリサーチされたんだなぁと感じました。最後までマップが成長していく過程が楽しかったです。
小野寺:私も直売所だけじゃなく、利府梨を使った加工品がこんなにあるんだってびっくりしました。廃棄梨の利活用も含め、六次産業化への取り組みは素晴らしいですよね。
石井:最後に、今回の経験を今後どのように生かしていきたいですか。
小野寺:今回手書きでイラストを描いたことで、自分にもこんなデザインができるんだと気づかされました。手書きにはデジタルとは違った良さがあるので、今後も状況や場面に応じて、手書きのものをつくっていきたいと思います。ありがとうございました。
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小野寺さんの「勝手に利府梨マップ」は、ひとりのデザイナーが自分の「やってみたい!」をカタチにした成果物です。町内の利府梨直売所を網羅しているものでも、広く配布することを目的としたものでもありません。あらかじめご了承ください。
マップはtsumikiで展示しています。入手をご希望の方は、個別にtsumikiまでお問い合わせください。
🔶design lamp 小野寺葉月
@design_lamp_h

文責:石井