\CHALLENGER/
tsumikiを中心に、町内の様々な分野で活躍する方々を紹介します。
今回ご紹介するのは、利府町でハンドメイド布小物をつくる岩渕有希子さんです。
「あったらいいなあ」をかたちに。
「つくりたい」をもっと自由に。
――「欲しいものが手に入らない」から始まった手づくり
岩渕さんは、布小物を作っています。屋号の「iiko iiko」は、子どもを慈しみ「いい子いい子」と頭を撫でてあげるイメージです。tsumikiで開催する「こ・あきない市」出店や「こ・あきない塾」受講を経て、2020年秋にtsumikiの委託販売にチャレンジしました。
作品づくりのきっかけは、子育てをしている時、子どものよだれが多く、スタイ(よだれかけ)を替えてもすぐに汚れるので、何枚あっても足りなかったこと。長く使える吸水性が高いスタイを探しましたが見つからず、自分で工夫し手作りしたのが始まりでした。だから、スタイは触感、吸水性、速乾性、着けた時の重さのバランスにこだわって作っています。
「1人目、2人目の子の時は我が子用のみでしたが、3人目が生まれ、その子の分を作った時、困っている人が他にもいるかもしれないと思うようになり、販売することを考えました」と自分のためのものづくりから、誰かのためのものづくりへと思いが広がっていきました。
――思うように運ばないことも、それでも道はつづいている
「誰かのために」と思い始めたものの、どう進み出せば良いかわからずにいた頃、tsumikiの「こ・あきない市」への出店の機会を得ました。他の作家たちにも刺激され、もっとステップアップしたいと「こ・あきない塾」へも参加しました。作家さんたちとのつながりも生まれ、イベント出店が決まるなど、活動の道筋が出来てきました。
しかし、動き出そうとした矢先に新型コロナの影響が出始め、出店予定が次々と消えていきました。落胆の思いを消し切れないまま何かできることをと考え、手元にあったガーゼ生地を活かしてマスクづくりを行いました。そのうち夏頃になると、ようやくイベント参加への誘いが来るようになり、自分にも戻れる場所があるのだと嬉しく感じたそうです。
――手にした人も、作り手も楽しいものづくりを目指す
手作りマスクは好評で、注文も増えました。しかし、ある時「私、本当はマスクを作りたいのかな?」とハッとしたと言います。「少数のニーズでも、誰かの『こういうのが欲しかった!』を叶えるものづくりも大切にしたい。一方で、自分が作りたいものを作る楽しみも忘れたくない。」と使い手・作り手両方が楽しめるものづくりへと希望が膨らんでいきました。そのひとつとして、tsumikiスタッフと相談し「iiko iiko」らしさに地域性をプラスという発想で製作した梨巾着が生まれました。
「今後は、スタイやマスクもおしゃれなデザインにチャレンジしたいし、小さなお人形や小物も作りたい。親子で参加できるワークショップや販売にこだわらず、見て楽しめるような出店方法も楽しいかも!」と目を輝かせて抱負を語ってくれました。
取材・文 tsumikiライター 五十嵐千晶