コモノヤさんは、加賀ゆびぬき作家
「起業を考えているから一緒にtsumikiに行ってみよう」と、友だちに誘われ来館したのが、「コモノヤ」の佐藤満美子さんとtsumikiとの出会い。その後、友だちより自分の方が足蹴くtsumikiに通うようになったそうです。
加賀ゆびぬきとは、金沢市を中心に加賀友禅の着物を仕立てていた女性たちが残り糸で指ぬきとして自作したのが始まりとされます。 まだ糸が貴重だったころ、お針子さんたちは着物を縫ったあとの残り糸や布、真綿の残りものを大切にとっておいて、針仕事につかう「ゆびぬき」を作っていました。
コモノヤさんは、絹糸1本1本が織りなす繊細な模様。1本1本の糸から生まれるデザインに魅了され、自らが作り手となり活動しています。自身の技術を極める中で、加賀ゆびぬきの担い手不足についても考えるようになりました。
定期的に加賀ゆびぬきのワークショップを行うことで、伝統工芸品を身近に感じてもらえるのではないか。そこで、宮城県に観光で来たお客さま向けの体験ワークショップなどを企業とのタイアップで実施。参加者と一緒に、2時間、3時間と集中して加賀ゆびぬきを制作する貴重な時間を共有しています。
▲伝統模様の加賀ゆびぬき
tsumikiとの関わりでは、第2回~第7回こ・あきない市に出店。そこで出会った仲間たちと、tsumiki「もくようマルシェ」に月1回出店し、販売だけでなく運営の実行委員としても活動を続けてきました。
また、tsumikiセレクトショップの委託販売出品にも挑戦。「1回目の応募では落ちちゃって、地域に根ざした模様のゆびぬきを作って再チャレンジしたの!」と、仙台雀踊りをモチーフにした「すずめ」やtsumiki模様のゆびぬき作りあげ採択されました。
▲宮城をイメージした創作模様の加賀ゆびぬき
「コモノヤ」という屋号が示すように、小さいく細かく繊細な作品を得意とする佐藤さん。加賀ゆびぬきの他にもトルコの伝統手芸のひとつである、縫い針を使って作られる結びの「レースイーネオヤ」も制作しています。
▲加賀ゆびぬきをアクセサリーにアレンジ。
活動の場も広がっていて、塩釜水産物仲卸市場で開催されるマルシェにも定期的に出店しています。丁寧な仕事が定評のコモノヤさんの市場シリーズは人気です。鮪のポーチ、魚絵柄のエコバック、にぎり寿司のポーチなど、市場ならではの素材を活かし独自の雰囲気をがっちりつかんだ商品で、新たなファン層を広げています。
▲海や魚をモチーフにした布小物
「継続して活動することが大事」と話すコモノヤさん。
イベントや販売場所に合わせて工夫し制作する作品の幅は多様です。tsumikiを飛び出し、宮城県内の様々なマルシェに出店し活躍しています。コモノヤさんから広がる活動の輪とともに、期待も希望も広がっていくことでしょう。
(tsumikiコーディネーター 大宮紗妃)