新生業塾公開講座
2023年8月27日(日)、マメムギモリノナカの代表、山下久美さんをゲスト講師にお招きし、「ミツロウラップtsu tsu miに学ぶブランディングの価値」と題し公開講座を開催しました。
2023年度は、公開講座の開催を皮切りに「小商いブランディング」をテーマにした新生業塾一連の講座が11月18日まで行われています。
公開講座はtsumikiディレクターの桃生と山下さんの対談形式で行われました。参加者は、利府町内外から8名。それぞれが今後の事業に活かすヒントを発見しようと真剣な眼差しで二人の対談を聞いていました。
公開講座の講師を務めてくださった山下さんは、宮城県最南端の丸森町を拠点に事業を展開しています。主な事業内容は、丸森町の地域資源を活かした商品開発と丸森町の起業支援拠点「CULASTA(クラスタ)」の運営です。
山下さんの開発した商品「ミツロウラップ tsu tsu mi」は、人にも地球にも優しい商品として「地方創生大賞」「ジャパンスカラシップ岩佐賞」を受賞し、社会的に高い評価を得ています。
元々リラクゼーションのセラピストとして仙台で活動をしていた山下さんは、丸森町の地域おこし協力隊として移住。自然素材を活用した事業を起こしたいと考えている中、町内の養蜂園で大量の在庫を抱えているミツロウの活用手段としてミツロウラップの事業に着手したそうです。
山下さんの商品は、ふるさと名品オブ・ザ・イヤーの受賞がきっかけで広く認知されるようになりました。今回は、ブランディングをかけて事業を成功させた体験談を通じ、そこで得た学びをシェアしてくれました。
商品コンテストに参加するなど、積極的に外に出て、多くの方のフィードバックを素直に受けいれていくことで徐々に道が拓けていったという山下さんは、「余計なプライドはなかったので、自然にアドバイスを受け入れられました」と語ります。
ブランディングでは「丸森で生きる」という地域への思いを込めたメッセージと共に、地域に根差した商品であることをアピールしたといいます。
商品のミツロウラップには「おにぎりやサンドイッチを包んで、また丸森町に来て欲しい」というメッセージが込められています。
デザインは『自分らしさ』を表現することを重視し、子どもが描きそうな絵柄などを取り入れ、あえて子どもっぽさを生かしました。
山下さんは「ブランディングはこだわりの掘り起こしが重要で、そのこだわりや個性をいかに『自分らしさ』として商品にフィットさせるかということが大切だ」と語ります。
また、ブランディングの過程においては、ブランドコンセプトの言語化やコピーライティングをつくりあげるという作業に一番価値を感じたそうです。
1年半をかけて丁寧に行われたブランディングの結果、商品を通じて町に興味を持ってもらい、町へ足を運んでもらうきっかけになっているという実感を得ています。
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新生業塾ステップアップ連続講座
ブランドコンセプトづくりを集中的に行うのが、9月14日にスタートした連続講座です。講師を務めてくださったのは岡山県岡山市で自社のアパレルブランド運営をしながら、小規模事業者に対してブランディングディレクションを提供している民布合同会社代表の岩崎恵子さんです。
岩崎さんは講座の中で、資金や運用出来る資源に限りがある小規模事業者は「ニッチでユニークな唯一無二の価値」を提供することが重要であるとおっしゃいます。
そんな岩崎さんは岡山で「風景をつくっていく野良着 SAGYO」というブランドを運営し、野良着の販売をしています。まさにニッチでユニークな分野です。
今回の連続講座のゴールは、参加者それぞれの事業や商品のブランドコンセプトをつくりあげることです。
起業や事業を運営する過程では様々なアイデアが湧いてきたり、外からの情報が入ってきたりと、思考や行動にゆらぎが生じてきます。そんな時に、限られた資金や時間の中で、一貫性のある事業を成立させるためには、適切な取捨選択をするための判断軸が必要になります。
それこそがブランドコンセプトをつくることの大きな意義のひとつだと岩崎さんは語ってくださいました。
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ステップアップ連続講座は、9月14日の講話の後、9月28日、10月5日、 11月16日、 11月18日の講座は、いずれもオンラインで開催されます。
11月のプログラム終了時にどんなブランドコンセプトが出来上がるのか、今からとても楽しみです。
(tsumikiコーディネーター 佐藤由崇)