12月15日(金)に、tsumiki交流会として「哲学カタリBAR」を開催し、町内外から5名の方が参加されました。
今回の交流会は、少し趣向を変えて「『しごと』を創る」をテーマに、哲学をつかった個人ワークとそれを共有しながらお互い交流を図りました。
まず導入として、スタッフが西洋哲学の事例を説明しました。
第二次世界大戦の時代を生きた哲学者ハンナ・アーレントは「人間の条件」という著書の中で「働く」ことを3つの成分に分解しました。
<労働>…食うために働く。生活・生命の維持。
<仕事>…何かを生み出す。自己表現が自己実現。
<活動>…他者や社会と関わる。公益や社会に波及する。
※訳書や研究者によって諸説異なる部分があります。
この説明の後、みなさんには個人ワークに取り組んでいただきました。個人ワークは、参加者のみなさんが取り組んでいる事業や活動をこのモデルに照らし合わせ、モチベーションを整理したり初心を振り返っていただくために、この項目のどれにあてはまるか、どれくらいのウェイトを占めているかをあらためて振り返っていただきました。
今回参加者は、陶芸家の方、市民活動団体を運営してる方、Youtuberの方、町の議員をされてる方、他の町で地域おこし協力隊をされている方。現役で働いている方、自営の方、元会社員、元公務員などなど…幅広い属性に富んでいました。
複数の役割やお仕事をお持ちの方は兼業されている分の枚数、ワークシートを記入いただきました。多い方は、4枚もシートを書かれていました。前職のことに触れる方もおり、中には「主夫」という役割でシートを書いた方もいらっしゃいました。
個人ワークの後は、その結果を他の参加者と共有しながら、それぞれがどんな思いをもってどんな取り組みに従事しているのか、自由にディスカッションし、交流を深めました。
tsumikiは起業・創業や市民活動をサポートする施設です。参加した方々の回答を見ると、<労働>として生計や生活を守りながらも、みずから仕事をつくりたい(つくっている)方や公益に資する活動を望む(実践中の)方が多く、<仕事><活動>の割合が多いようでした。
現在の取り組みを始めてから1年未満の方から10年以上の方までいましたが、それぞれその営みを始めようとしたときの気持ち、なぜ今現在も続けていられるかという理由を振り返りながら交流を深めていただきました。
その他、会社員等組織の一員として働くことが良いのか、自ら事業を起こす方が良いのか、仕事が常にあることが担保されている安心がどれだけパフォーマンスの向上につながるか等など、働くことの楽しさや苦しさについても議論が広がりました。
今回の交流会に参加される前は、みなさんから「哲学は難しそう」という声も少し寄せられましたが、哲学というものは、わざわざ「哲学」と呼ばなくても日頃からみなさんの頭のなかにある抽象的かつ本質的な問いであり、けしてハードルが高いものではないことをおわかりいただけたようでした。
みなさんの哲学へのハードルが少し下がったところで、スタッフは次なる「哲学カタリBAR」を構想してみたいと思います。もし実現できましたら再びみなさんにお知らせします。
(tsumikiコーディネーター 佐々木将太)