【こ・あきないの学校】”デザイン” – 佐々木 享さん

11月29日(土)、株式会社comme-ntでアートディレクターを務める佐々木 享さんをゲストにお招きし、こ・あきないの学校の第5回が開催されました。

トークテーマは「デザイン」

本プログラムでは佐々木さん自身の経歴や行なってきた仕事を辿りながら、生活の中で自分たちを囲んでいるデザインの意図を考え、生活の中でデザイン的思考をどのように養っていくのかについてお話を聞きました。

また、プログラム後半では受講生のみなさんに持ってきていただいた「良いデザインだと思うもの」について自分なりに考えてみて発表するワークショップを行い、ふだん何気なく見たり使ったりしているものに、どのようなデザインの意図があるのかを考え、なぜそれが良いデザインだと思うのかを自分の言葉で表現してみるという作業をレクチャーしていただきました。

生活をより良くするための知恵と工夫

私たちの生活のいたるところに関わりのあるデザインですが、社会の中にうまく溶け込んでいる為に自覚したり考えたりする瞬間はあまり多くないというのがリアルなところです。
佐々木さんはそんなデザインを「生活をより良くするための”知恵”と”工夫”」と定義づけて考えています。
世の中にある諸問題の解決策の一つとしてデザインが存在していて、デザイナーのみが行う特別なことなのではなく、日常をより良くしていく方法として全ての人に関係のあるものだということです。

また、完成品のみならず作るまでの過程や考え方、制作に至るまでの目的意識までを含めてデザインの一環であり、
思考や世の中の見え方を変えることのできる大きなツールであると話していました。

私たちがどのような生活を送っていくのかを考えることから、デザインへの一歩は始まっています。

デザインの原体験はねぶただった

青森県出身の佐々木さんは、小さい頃ねぶたが好きな少年だったと言います。
北村隆さんというねぶた師の方の作品が特に好きで、よく絵を描いていたそうです。
高校ではデザインに触れる機会が増え、大学で本格的にデザインを学ぶことに。
現在デザイナーとして仕事をする上での基盤は幼少期から始まるものへの好奇心から育まれました。

完成デザイン(表)

完成デザイン(裏)

デザイン構成案

今回のこ・あきないの学校のチラシデザインは佐々木さんに担当していただいたものです。学校というタイポグラフィを大きく見せる配置や、書体、版画風の背景など全ての部分に佐々木さんの意図が含まれているというお話は、デザイナーの頭の中を見せてもらえたようで大変興味深かったです。

また、今回はチラシを作成していただくにあたって、完成までのプロセスをインスタライブで公開するという試みも行い、打ち合わせの様子から印刷についてなど計3回にわたってデザイン制作の過程をお話しいただきました。
先にお話いただいたデザインについての考え方を踏まえて聞いてみると解像度も一層深まることだと思います。
〈Instagram〉
「第一回」
https://www.instagram.com/reel/DLUupHKTaCN/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
「第二回」
https://www.instagram.com/reel/DLmrZapxLHe/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
「第三回」
https://www.instagram.com/reel/DL9IUV9RhPB/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

今まで数多くのデザインを手掛けてきている佐々木さんですが、趣味や自分のために作ってみたプロダクトなどから仕事に繋がったということも数多くあるそうです。
ここでは2つ紹介させていただきます。

「染サイクリングキャップ」
大学時代の恩師に自転車を譲り受けてからサイクリングを長年の趣味としている佐々木さん。
過去に手ぬぐいのデザインで一緒にお仕事をした「永勘染工場」がコロナ禍によって打撃を受けているという話を聞き提案したのがこの染サイクリングキャップです。自身の趣味を掛け合わせての新たなプロダクトとして、新東北みやげコンテストにてお取り寄せ特別賞を受賞しました。

「めいめい」
お子さんが誕生した際、家に飾れる命名書が欲しいということで販売目的は無く個人的に作った命名書だったそうですが、SNSに公開したところ欲しいという声が上がり商品化へと至りました。

公私関係なく自分が関わるもの全てを仕事へと繋げていく姿は「こあきない」において非常に大切な姿勢ではないでしょうか。

おやつはトライフル
頭を使う際には甘いおともが重要です。
今回はtsumiki WEEKEND CAFEチームが「トライフル」を作ってくれました。
別名”焼かないケーキ”とも言われ、スポンジケーキ、フルーツ、生クリームを層状に重ねて作られます。小商いへの挑戦と”トライ”が掛かっているとかなんとか…
みなさんに美味しそうに召しがっていただきました

なぜそれが好きなのかを考え、自分の言葉で表現する

デザインについての考え方を佐々木さんから教えていただいたところで、次に「良いデザインについて考える」ワークショップへと移りました。
参加者の方にあらかじめ準備していただいた”自分が良いデザインだと思うもの”を元にして、自身の考えを探ってもらうというのが目的です。
一つのテーマの中でもお気に入りのスニーカーや、お子さんが描いた絵、パソコンのディスクなど幅広いジャンルのものが机の上に並べられた様子は、受講生の方々の感性を伺うことができ、世の中に出回る製品に込められたデザイン性やデザイナーの意図が見えてくるようでした。

ワークシートに記入した内容を何名かの方に発表していただき、それぞれの感想を共有してワークショップは無事に終了。普段使ってるものを取り出してなぜそのデザインが好きなのかを考える機会は普段ではなかなか無いことですので、受講生のみなさんにとって思考を巡らす良い刺激となったのではないでしょうか。

本編終了後、さらにお話を聞きたい人が集って開催されたアフタートークでは半数以上の方に参加いただきました。
本編では話しきれなかった過去の仕事の取り組みや、趣味についての話など、佐々木さんのことをさらに深掘りした時間となり、デザイナーを志す方や、普段から仕事でデザインに取り組んでいる方からの相談に近い質問もあり有意義な時間となりました。

佐々木享さん、どうもありがとうございました。

YouTubeにて佐々木さんへのインタビュー動画が上がっています。
当日参加できなかった人はぜひご覧になって見てください。
〈YouTube〉
https://youtu.be/8QaH7hDqA5w?si=FXmS63XgwEJqEKNR

受講生からの感想


「時間が少なく感じました(面白くて)、デザインについていつもどう向き合っているのかが知れて面白かったです。人脈づくりが上手だなぁと思いました。」
「デザインについて自分が使っている物を改めて見返して考える機会が普段ないのでいい時間だった」
「普段なかなか聞くことのできないデザインができるまでの話を拝聴することができ、とてもわくわくしました」

佐々木享さんおすすめの3冊

「アキッレ・カスティリオーニ: 自由の探求としてのデザイン」
多木 陽介(アクシス)

「APPLE Learning to Design, Designing to Learn りんご | 学び方のデザイン | デザインの学び方」
三木 健 (CEメディアハウス)

「生物から見た世界」
著) ユクスキュル/クリサート
訳)日高 敏隆/羽田 節子 (岩波文庫)


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