【こ・あきないの学校】ベイク – 松野由香さん


11月15日(土)、tsumikiにてこ・あきないの学校の4回目が開催されました。
ゲストは、白石市で焼き菓子製作室イドロリを営む松野由香さんです。
今回は、松野さんにお店をはじめた経緯、仕事の魅力、考え方などについて一問一答形式で答えてもらいました。
また、スタッフでもあり利府町でBagel&Bread spicaを営む鈴木朝美にも同席してもらい、同じ質問に答えてもらいました。


Q1.お店をはじめたきっかけは? 
松)自己表現、居場所づくり。
鈴)大好きなベーグルやさんがあまりなくて食べたかったから。

松)秋田県で生まれて、学生時代を仙台で過ごしました。嫁ぎ先が白石でしたが、知り合いが全然いない状態でした。そんな中で自分のできることで何か表現ができないかと思い、当時、趣味でお菓子作りをしていたことを活かしてお店をはじめることにしました。

鈴)17年前に始めましたが、当初は、仙台市内にもベーグルの専門店なども少なかったですね。


Q2.お店をはじめるまで、どのくらい時間がかかりましたか? 
松)2年くらい
鈴)6ヶ月くらい

松)物件探しや経営スタイル、資金づくり、根まわしなどいろいろ時間をかけて構想しました。周りの友人や家族に食べてもらったりして、自分の中で少しずつ自信をつけていく時間も込みの2年です。

鈴)店舗ではなかったので、とにかく製造許可が取れる場所を探して借りました。


Q3.お店を始めようとした時、誰に相談をしましたか? 
松)夫
鈴)友人と話し合いながら

松)夫には「良いんじゃないか」と背中を押してもらいました。夫にプレゼンするような形でお店作りを進めてきました。お店のイメージ作りなどは一人でやってました。

鈴)二人ではじめたので相談しながらやってました。


Q4.一人でやることのメリットは? 
松)人に気を使わないこと
鈴)一人で全て決められる

松)前職は、雇われのコックだったので部下や上司がいました。気を遣っちゃうタイプなのでフラストレーションが溜まっていました。なので一人だと気遣いもなく気楽にできます。その分、すべて自己責任になりますが、腹を括りました。


Q5.お店をはじめる当時、一番不安だったことは何ですか?
松)お客さんが来なかったらどうしよう……。
鈴)思いつかない、お金?

松)宣伝もしていないので自業自得ですが、せっかくお金をかけているのでせめて元がとれるくらいは、がんばりたいけど、でも全然来なかったらどうしようという不安はありました。最初に来たお客さんは、ほぼ知り合いでそこから徐々に広がった感じです。



Q6.自分の性格を分析すると? 
松)湿
鈴)深く考えない。すぐ行動する。

松)意外と執着します。よく言えば負けず嫌いです。これはと思ったらやり遂げるタイプですね。組織で働いていた時の思い込みもあって、やれないと思っていたこともやろうと思ったらやれちゃう、ということの発見でした。勢いとノリはとても大事です。

鈴)あまり計画を立てたりするのは得意ではないので、思いついたらすぐ行動です。


Q7.お店を継続する上で大事なことは何ですか? 
松)「安定」を認知してもらうこと
鈴)自分の好きなことをやり続ける。

松)臨時で曜日をずらす、時間帯を変えるといったイレギュラーな対応はできるだけしないようにしています。金曜日しか開けないお店ということを根強く認知させてることで、継続につなっがていると思います。過去に一度だけ、木曜日にオープンしたことがありますが、やはりお客さんが少なかったです。プライベートを含めて、金曜日を開けれるように調整するようにしています。

鈴)たまにお客さんの声を反映してつくることもありましたが、残ってしまうと他人に責任を転嫁したりしてあまり良くないですね。

松)嫌なものは作りたくないし、楽しいおいしいと思って作ると商品に必ず反映されます。ニーズに沿うことも大事かもしれませんが、やはり自分が食べたいものをつくりたい、気分が上がった状態で仕込みをしたいと思っています。イロドリでは、毎週新しいメニューを作っています。自分の食べたいものが変わるので、お客さんはどう捉えているかわかりませんが、それで売れ残ったら自分の責任だし、売れたら売れたで万々歳ですね。自分に正直でいることが続けられる一番の秘訣です。



Q8.店名に由来は?
松)自分、誰かのため、日常のためのイロドリ(彩り)
鈴)友人がつけてくれました。

松)そのままですが、自分の好きなことをやることで自分の中の彩りになったり、お客さんの生活に彩りを加えられたらと思っています。お菓子自体はそもそも焼き菓子なので鮮やかな色というわけではありませんが、食べた人の気持ちを彩れたらという視覚的な彩りではなくマインド的な彩りですね。

松)「イロドリ」という名前は直感的に良いなと思ってすぐ決まりました。つくるのと販売をしている一体の場所なので「菓子屋」ではなく「製作室」としました。

松)ちなみに週1回金曜日しか開けないスタイルのイロドリですが、今の家族の状況などを踏まえると週に1回しか開けれないのが現状です。ただそのための仕込みは月曜日から始まり、優先順位をつけながら逆算をしてコツコツお菓子をつくっています。販売当日は、400~500ピース程度が店頭に並びます。


Q9.やめたくなる瞬間は? 
松)ない!
鈴)体がきつい。

松)作っている時も接客している時も楽しいでの、しんどいと思うことはありますが、やめたいと思ったことはないです。年々、体はきつくなっていきますが、きつければきついなり身の丈にあったやり方に変えるのが大事ですね。

鈴)最近は減りましたが、Bagelは焼き菓子と違って作り溜めができないので当日の深夜2時から仕込んだりします。販売と仕込みを繰り返しているとやめたくなる時はありますね。



Q10.アイデアはどこから?
松)自然とわく、食材を見るとわく
鈴)考えようと思わなくてもなんとなくうかぶ

松)調理師としての経験で、食材の活かし方や組み合わせの引き出しなどはある程度ありますね。果物を見つけるために産直や道の駅にもよく行きます。

鈴)お客さんに合わせてメニューを考えると苦しいですが、自分食べたいものとなると制限もないのでアイデアも浮かびやすいです。


Q11.前職は何をしてましたか? 
松)アパレル→調理師→現在
鈴)TV局ディレクター、カフェ製造、CDショップなど

松)アパレルで4年、調理師として12年、働きました。学生時代、服飾系の専門学校で通っていましたが、バイトはイタリアンなど飲食店で働いていて興味はありました。アパレルもずっとできる仕事ではないと思ったので、手に職をつけるという意味でも調理師へ転職しました。調理師との経験が今も活きています。


Q12.あなたにとって「お金」とは? 
松)生活資金/材料資金
鈴)必要なものだけど苦手なもの

松)綺麗事は言えないですが、赤字にさえならなければと思っています。ハードルを下げて身の丈にあったラインを決めないと苦しくなってしまいますね。売上はあるにこしたことはないですね。

鈴)お金は絶対必要ですが、勘定は苦手ですね。お金に縛られず生活したいとは思っています。


Q13.宣伝はどうやってますか?
松)SNS(インスタのみ)、口コミ(?)
鈴)SNS

松)ありがたいことに口コミでも広がっていますね。お菓子を一つの作品と捉えているのでSNSの写真は、トーンを暗めにしてギャラリーとして見れるように工夫しています。




最後に参加者から今後の展望について、聞かれて「家庭もあるし子どももまだ手がかかるので、現状を維持することが目標ですね。ただ、それが簡単なようでとても難しいです」と松野さんはおっしゃっていました。

参加者からは「何かをやりたくて、何かを変えたくて参加しました。一歩踏み出すてみようという勇気をもらえた時間でした」「思い切って行動することが大切なんだなぁと思いました」「自分が好きなものを楽しい気持ちでつくるというお二人のお話が一番、印象的でした」といった感想が寄せられ、満足度の高い講座となりました。

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