今回お話を伺ったのは、「伊達なレモン酢」を製造・販売するレジプラの安藤絹子さんです。
レモンを酢に漬け込んでつくるレモン酢は、料理や飲み物に幅広く使える調味料。安藤さんは国内産レモンを使って丁寧に製造しています。
2025年4月に活動をスタートして以来、tsumikiでの委託販売にも出品し精力的に取り組んできた安藤さん。今回は、これまでの歩みを振り返りながら、委託販売を通して感じたことや学びについてお話を伺いました。
出発点は、何気ない会話と骨折だった
石井:あらためて、安藤さんの活動について教えてください。
安藤:「レジプラ」という屋号で、「伊達なレモン酢」という調味料を製造・販売しています。主な販売先はマルシェイベントです。ほかには自前のオンラインストアや、tsumikiでの委託販売を行っています。
石井:レモン酢をつくろうと思ったきっかけは?
安藤:前の職場で「なかなか痩せなくて」と同僚に相談したら、「レモン酢がいいよ」と教えてもらったんです。作り方を聞いて自分でつくってみたら、思っていた以上においしくて。
石井:そこから、すぐ販売を?
安藤:いえ、それは5年くらい前の話で。販売を考えたのは、昨年になってからです。
石井:ずいぶん間がありますね。
安藤:実は2024年8月に背中を骨折し、当時の仕事を続けられなかったんです。体が思うように動かない日々の中で、「このまま死んでいくのは嫌だな」と強く感じるようになり、これからの人生を考える時間が増えていきました。そして、「これからは自分の好きなことをやろう」と心に決めたんです。
石井:後悔したくなかった?
安藤:そうですね。鹿島台で開かれている互市に行ってみたら、雰囲気も含めてすごく楽しくて。「ここでレモン酢を売りたい」と、目標が一気に定まりました。

商品化までの、想像以上の紆余曲折
石井:そこから、どんな行動を?
安藤:互市を見てすぐ、塩釜市の商工会議所に相談に行きました。そこでtsumikiのことを教えてもらって。利府に住んでいるのに、全然知らなかったんです。
石井:最初に来られたのが2025年4月24日でしたね。本当に動きが早い。
※東北最大級の市として名高い互市は、春(4月中旬)と秋(10月中旬)に鹿島台で開催される
石井: 同時期、安藤さんは「宮城県よろず支援拠点」にも足を運んでいましたね。商品化は順調でしたか?
安藤:全然です。もう大変でした。
石井:具体的には?
安藤:最初は「飲料」として売ろうと思っていたんです。でも、保健所に相談したら、飲料の場合は「許可のある設備」で製造しなければならないと分かって。そんな設備は用意できないし、近くに借りられる場所もなくて。
石井:そこで?
安藤:保健所の方に「『調味料』としてなら届出だけで大丈夫」と教えてもらいました。
石井:飲料から変更したのですか?
安藤:正直、抵抗はありました。でも、物自体は一緒だし、売れる形にしないと前に進めないので、割り切りました。
石井:それから表示やパッケージ、とくに悩んだのがラベルだったと言ってましたね。
安藤:そうなんです。瓶の中のレモンが見えるよう、透明ラベルにこだわっていたんです。でも、試しに買ったものは、水で拭いただけでインクが落ちてしまって…。そんなとき、インスタのフォロワーさんから「これがいいよ」と教えてもらったのが、3Mジャパンの「A-one 自由にカットできるA4サイズラベル」でした。今のラベルに落ち着いているのは、その人のおかげですね。
石井:試行錯誤の積み重ねが、今の商品につながっているんですね。
委託販売がくれた「想定外の気づき」
石井:10月からtsumikiの後期委託販売にも挑戦されました。理由は?
安藤:やっぱり、「常設で置いてある場所」がほしかったんです。マルシェでは「どこで買えるの?」と聞かれても、はっきり答えられなくて。でも今は、「利府駅前のtsumikiです」と自信をもって言えます。
石井:やってみてどうでしたか。
安藤:正直、売れるとは思っていなかったんです。でも、時々売れる。そのたびに、すごくうれしくて。
石井:スタッフからのアドバイスもあったそうですね。
安藤:はい。「こんな方が買っていきましたよ」とか、「こういう商品も合いそうですね」とか。話を聞いているうちに、ハッとしたんです。
石井:というと?
安藤:私は高齢者向けの商品だと思っていたんですが、実際に買っているのは30〜40代の方が多くて、しかも自分用じゃなく、誰かへの贈り物が多い。「ギフト需要だったんだ」と、委託販売を通して初めて気づきました。今は、方向性を見つめなおしているところです。
偶然がつないだ、横の広がり
安藤:tsumikiを通じて、思いがけないつながりもできました。
石井:どんな?
安藤:大和町のマルシェで、同じく委託販売者でアイシングクッキーを作っているSugar saisonさんと、元委託者の彦来のハニー工房さんに偶然会ったんです。ハニー工房さんには、利府町のふるさと納税のことを教えられ、それに挑戦する背中を押してもらったので、現在返礼品登録を申請中なんですよ。(取材日の1/14時点)
石井:素晴らしい出会いですね。
安藤:はい。それから、Sugar saisonさんとは、1月24日にtsumikiで開かれるPOPUPにも一緒に出店することになりました。本当に示し合わせたとかではなくて、偶然で。すごい縁だなって。
石井:一人じゃない、と思えるのは心強いですね。
安藤:本当にそうです。最近は、自分から横のつながりをつくっていきたいとも思うようになりました。一人ではできないことが、たくさんあると実感しています。
終わりに
目の前の課題を一つひとつ乗り越えながら、着実に前へ進む安藤さん。今年の目標を尋ねると、「互市への出店」と「黒字化」と、即答でした。骨折という予期せぬ出来事を、今を生きる原動力に変えた安藤さんの活動に、今後も注目していきたいと思います。
■レジプラ(利府町)
https://regipla.theshop.jp/
